万一に備えて、点検は怠りなく
消防法で消火器の設置が義務付けられている防火対象物では、「消火器の点検と報告」が義務付けられています。
消防用設備等は、日常使用されず、火災が発生した際に初めて使用されるものであり、かつ、いつ火災が発生してもその機能を十分に発揮できるものでなければなりません。
点検・報告の概要
- 1. 点検及び報告の義務(消防法第17条3の3)
- 防火対象物の関係者は、その防火対象物に設置されている消火器具について、総務省令で定めるところにより、定期的に、防火対象物のうち政令で定めるもの(施行令第36条)にあっては乙種第6類の消防設備士又は第1種消防設備点検資格者に点検させ、その他のものあっては自ら点検し、その結果を消防長又は、消防署長に報告しなければならない。
- 2. 点検の内容と期間(平成16年消防庁告示第9号)
- 消防法第17条の3の3の規定による消火器の点検は、機器点検により、6か月に1回以上行うものとする。機器点検の項目内容は下記のようになっている。
- 3. 防火対象物の点検の範囲(施行令第36条第2項)
- 法定資格者が点検をしなければならない防火対象物は下表に揚げる防火対象物とする。
- 4. 点検結果の記録及び報告期間(施行規則第31条の6)
- 防火対象物の関係者は、点検を行った結果を維持台帳に記録するとともに、下表の区分に従い、期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。
- 5. 罰則(消防法第44条)
- 消防法第8条の2の2第1項又は第17条3の3の規定による点検報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、30万円以下の罰金又は拘留に処する。
法定資格者が点検をしなければならない防火対象物
防火対象物の例 | 点検の対象 | 点検報告期間 | ||
---|---|---|---|---|
施行令第36条第2項 | 規則第31条の6 | |||
1 | イ | 劇場、映画館、演芸場、観覧場 | 1,000平方メートル以上 又は特定1階段のもの |
1年1回 |
ロ | 公会堂、集会場 | |||
2 | イ | キャバレー、カフェー、ナイトクラブ等 | ||
ロ | 遊技場、ダンスホール | |||
ハ | 性風俗関連特殊営業を営む店舗 | |||
ニ | カラオケボックス、個室漫画喫茶、ネットカフェ、テレクラ、個室ビデオ点等 | |||
3 | イ | 待合、料理店等 | ||
ロ | 飲食店 | |||
4 | 百貨店、マーケット、展示場 | |||
5 | イ | 旅館、ホテル、宿泊所 | ||
ロ | 寄宿舎、下宿、共同住宅 | ※1,000平方メートル以上 | 3年1回 | |
6 | イ | 病院、診療所、助産所 | 1,000平方メートル以上 又は特定1階段のもの |
1年1回 |
ロ | 特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、自力避難困難者が入所している小規模福祉施設等 | |||
ハ | 老人福祉施設、有料老人ホーム、((6)項ロに該当するものを除く。)、障害福祉施設サービス事業を行う施設等 | |||
ニ | 幼稚園又は、特別支援学校 | |||
7 | 小中学校、高校、大学等 | ※1,000平方メートル以上 | 3年1回 | |
8 | 図書館、博物館、美術館等 | |||
9 | イ | 蒸気浴場、熱気浴場等 | 1,000平方メートル以上 又は、特定1階段のもの |
1年1回 |
ロ | 上記以外の公衆浴場 | ※1,000平方メートル以上 | 3年1回 | |
10 | 停車場、船舶航空機発着場 | |||
11 | 神社、寺院、教会等 | |||
12 | イ | 工場、作業場 | ||
ロ | 映画スタジオ、テレビスタジオ | |||
13 | イ | 自動車倉庫、駐車場 | ||
ロ | 飛行機、回転翼航空機の格納庫 | |||
14 | 倉庫 | |||
15 | 前略項に該当しない事業所 | |||
16 | イ | 特定複合用途防火対象物 | 1,000平方メートル以上 | 1年1回 |
ロ | 上記以外の複合用途防火対象物 | ※1,000平方メートル以上 | 3年1回 | |
16の2 | 地下街 | 1,000平方メートル以上 | 1年1回 | |
16の3 | 準地下街 | |||
17 | 重要文化財等の建造物 | ※1,000平方メートル以上 | 3年1回 | |
18 | 延長50m以上のアーケード |
※印:消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの。
設置は、良い環境で適正に
消火器を設置する際、高温や多湿、外気にさらされやすいなど、置かれる場所の環境や条件によっては、消火器の寿命を縮める場合があります。
いつでも正常に使えるよう、設置上の注意に従って適正な設置を行なって下さい。
- 通行又は避難に支障がなく、必要時にすぐに持ち出せる場所に設置すること。
- 消火器は各防火対象物・部分から歩行距離20m以下(大型消火器は 30m以下)になるよう設置し、各階ごとに設置すること。
- 床面からの高さ1.5m以下に設置し、「消火器」の標識を見やすい位置に付けること。
- 地震や振動で消火器が転倒、落下しないように設置すること。
- 高温、多湿場所は避け、消火薬剤が凍結、変質又は噴出するおそれの少ないところに設置すること。
消火器に表示されている「使用温度範囲」内の場所に設置する。
高温や湿気の多い場所、腐食ガスの発生する場所(化学工場、温泉地帯等)等に設置する場合は、格納箱に収納するなどの防護を行なう。
厨房室での床面、作業場の地面等への直置きは避け、壁掛け又は設置台、格納箱に設置する。 - 6か月に1回以上は外形を点検する。
消火器の設置義務がある建物
消火器の設置を義務付けられている建物については、消防関係法令で細かく定められていますが、おおむね下表のとおりです。
また、自力避難が困難な高齢者や障害者の入所する福祉施設に対し、延面積に関係なく、消火器・自動火災報知設備・消防機関へ通報する火災報知設備の設置が義務付けられています。
消火器の設置対象物
- 設置しなければならない建物 延面積に関係なく
- 劇場、映画館、演芸場、観覧場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの、遊技場、ダンスホール、性風俗関連特殊営業を営む店舗、カラオケボックス、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、要介護状態にある者を入居させる有料老人ホーム、介護老人保健施設、救護施設、乳児院、知的障害児施設、通所施設を除く盲ろうあ児施設若しくは肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、障害の程度が重い者を入所させる障害者支援施設、老人福祉法に規定する特定施設、障害者自立支援法に規定する特定施設、地下街、準地下街、重要文化財、重要有形民俗資料・史跡重要美術品等の建造物
- 延面積150平方メートル以上の建物
- 公会堂、集会場、待合、料理店その他これらに類するもの、飲食店、百貨店、マーケットその他の物品販売事業を営む店舗又は、展示場、旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの、寄宿舎、下宿、共同住宅、病院、診療所、助産所、老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センター、有料老人ホーム、更生施設、助産施設、保育所、児童養護施設、知的障害児通園施設、通所施設に限る盲ろうあ児施設若しくは肢体不自由児施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、身体障害者福祉支援センター、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム老人福祉法に規定する老人デイサービス施設、障害者自立支援法に規定する生活介護、児童デイサービス、短期入所、共同生活介護、自立訓練、就労支援施設(短期入所等施設を除く)幼稚園、特別支援学校、蒸気浴場その他これらに類する公衆浴場、工場、作業場、映画スタジオ、テレビスタジオ、自動車車庫、駐車場、航空機格納庫、倉庫
- 延面積300平方メートル以上の建物
- 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校、その他これらに類するもの、図書館、博物館、美術館、その他これらに類するもの、車両の停車場又は、船舶若しくは航空機の発着場、神社、寺院、教会その他これらに類するもの、前各項に該当しない事業場
→一定数量以上の危険物、指定可燃物を貯蔵し取り扱うもの及び地階、無窓階又は、三階以上の階で床面積が50平方メートル以上のものについては、上記の規定にかかわらず設置が必要です。
※消火器の設置本数については、建物の面積、構造、危険物、指定可燃物の数量等によって算出されます。火災予防条例にも定められておりますので、お近くの消防署でのご相談ください。